ガール

誘惑する魔性少女

 

 

中禅寺は木々に囲まれた一軒家に住んでいる。隣はアパートで、引っ越してきたり、引っ越したり、出入りが激しい。
隣には、女の子が、住んでいる。両親は共働きで、鍵っ子なので、夕暮れまでアパートの前のコンクリート道路でぱたぱた走り回ってひとりでおいかけっこをしている、元気な女の子だ。

中禅寺は、これ、食べるかい、と、梨を剥いてやった。うん、ありがとう、女の子はためらいがちに、もらった梨をほうばっている。少女はまだ6、7歳くらいで、人見知りする年齢だろう、  
「元気あるね」、と言うと、「まだ子供だから」、と返事。

ああ、隣のアパートの女の子に愛想をふりまいて帰ってきた京極は、可愛らしい少女だったな、と思いながら、両親の愛情がまだ欲しいだろうにひとりで孤独そうな少女に、いいことをした、と、布団に横たわって就寝した。  
夜深く、しばらくすると、不用意にドアが開いて、あの真っ赤なワンピース姿の少女が入ってきた。満月の夜だった。

愛らしい少女は狙うような目付きで、間違いなく中禅寺の布団を見つけると、そこにもぐりこんできた。中禅寺は、はっと目を覚ました。少女は、ばっと布団を掴んで弾くと、驚いて目を見開く中禅寺にためらいなくまたがると、いたずらっぽく微笑み、隙のない仕草で、着物の裾を割り‥‥(ちょっと待った)、中禅寺は、突然のことに、気が動転しそうに焦って少女を押し返えそうとして、少女の強い力に押し返された。それでも、必死に腕を掴んで抵抗する。

 「なんだ、君は、隣の女の子じゃないか、どういうことだ」「先生に、会いに来ました」

なんでこんな夜中に、しかも、不埒な。

すう、と暗く落ち着いた冷たい妖しい美声で、見上げてくる真摯な眼差し。頬は上気して赤い。ちぐはぐだ‥‥‥。「先生」

男が歓ぶ声音。(違う違う、なんだ、この子供は)  

「こんな夜中に非常識だ」「悪いのは、中禅寺さんだから」「なんの、ことだ」「思わせ振りな態度」「は?」

ぐぐぐ、とお互い押し合いしていた、が、少女はすばしっこく、中禅寺の腕をかわすと、下腹部をいやらしい手つきで触り、

「これが、男」

と、着物の裾から、なかをまさぐり、小さく細い指が、握りきれない質量の男の証をさっと撫で、なにする‥‥‥と眉根を潜め驚愕の中禅寺。陰茎をじかに握り、いやらしく動かしはじめる少女。すべては、密やかな部屋で起こったこと。隣の住民は、ここでこんないけないことが、起こっていることすら知らないだろう。突然、下半身を触られ、驚きのあまり、抵抗できない。そんな弱いところ。少女は、するすると中禅寺の柔らかい内股を細い指先で形をなぞるように辿り、中心のもう熱くなっている肉茎、そこをぎゅっと掴んで擦りあげ、「ああ」と中禅寺の苦しそうな喘ぎに、満足したように少女は手の動きを早める。

(なにを、なんということを、この娘)隣に住んでいた娘は、夜、男の寝屋にまぐわいにくる変態少女だった。

警察にでも言えばいいか。しかし、この状況だと、僕が容疑者扱いだ。少女は、まだ、中禅寺の着物の中をまさぐり続け、中禅寺のため息まじりの喘ぎ声とともに形をみるみる変えていくそれを、誘い込んだ先を目にして、中禅寺は、ぎょっとした。

少女は、スカートの下になにも履いていなかった。そのスカートの下の、恥部の奥底に、かたちを成してきた中禅寺のモノをいざない、ためらいなくあてがうと、といやらしく、ずぶずぶと、あっさり中禅寺を飲み込み、どういう仕組みになっているんだ、そこは、子供のくせに、と、こわばってはねのけようとする中禅寺の腕を、またも強い力で握り返し、くねくねと大人の腰使いで、彼女の中に入った中禅寺の竿を、強く緩く、緩急をもって、奥から手前と、上下に、自在に動き始めた。

「あ‥‥‥あ‥‥あ‥‥なにをしているんだ、君は!」

「先生は、愛想をふりまいた。梨、それって私に気があるんでしょう。だから、私、こうしてるの」

強い口調と、強い眼差しで見つめられ、大人顔負けの腰つきでどこで覚えてきたのか、考えると恐ろしい。もともと備わった妖魔の血か、ぬらぬらした二人の接合部分に、少女は動き、うぬぼれるままに、ふ、ふ、ふ、と笑いつつ、腰をなまめかしく動かす、人には言えないような動きだ。その表情は美しく、そのあまりの心地よさに、中禅寺はあ、あ、あ、と情けなく喘ぎ、少女のやや乱暴すぎる腰つきに、しだいに怒りのボルテージも上がってくる。なぜ、こんな少女に無理やりいかされなければならない。中禅寺は、がしりと少女の腰を掴むと、動きを止めさせ、初めて目を見開いた少女を睨み付けるように言う。 

「君みたいな子供は、嫌いだ、人を無理やりいかせようとして」

中禅寺のあの冷たい目で、はっきりと拒絶の言葉を言うと、ショックを受けているおとなこどもの、少女。

「でも、」中禅寺はこんどは妖しく笑いながら、自らみだらに腰を動かし始めた。少女が上下にゆさぶられる。意表をつかれる少女。
「君のような妖魔には、好きでもないが、軽蔑と侮蔑をもって僕も動いてやろう、性病にかかって人の寝込みを襲う不埒な君にはお似合いだ」

そう低く笑いながら、今度は中禅寺が、少女の動きを上回る腰つきで、上下に少女を翻弄し、下から、妖しく突き動かし突きまわる。大人の動きだ。顔は完全に悪魔。冷ややかな笑み。完全に形成逆転したが、少女の内面は(それを待っていたの、私、大人男の人に抱かれたかったの)、と切なく、心の中で訴えながらあ、あ、あ、あ、あ、と、はあはあ荒い息で、少女は胸のまえで両手を支え、何回も達した。みてはいけない表情だ。こんな少女、と睨み付けながら、馬鹿だ、愚かだ、と、けなしながら、饒舌に動く腰、内壁を竿でこすっていると、肉がひきつれて、気持ちよさのあまり、これでは、いけないかもしれない、僕としたことが‥‥‥‥(許してはいけない、許してはいけない、相手は、子供、くそ、しだいに訳が分からなくなってくるな)、と、悪い子供なのに、追い返さないで叱りながらいかせるのは天罰のようだが実は、中禅寺なりの甘えだろう。少女は淫ぽんに腰で答え動き、行為にふけっている。中禅寺も、ふけっている。

 

愚かで、非常識な夜が終わったあと、少女は中禅寺のはだけた胸の上で眠っている。その小さな頭を抱えながら、中禅寺もうつらうつらしている。まいったことに、なったな、少女に責められた。

 

これからのことを考えると、先が、おもいやられる、と、中禅寺は少し眉根を歪めた。