二日目

 美しく、艶めいた眼差しの美枝子が、またやって来た。京極堂に抱かれるようになって、よりいっそう華やかで、あでやかな椿のような美しさ。

 パラソルを仕舞うと、心待ちにしていた中禅寺が、美枝子の側に寄り添う。黒猫みたいにいたずらっぽく微笑まれて、指をからめられれば、もう耐えきれないと、中禅寺は彼女を連れて、座敷にあげる。 

 沓抜石に、京極堂の細い足首と、美枝子の白くてなまめかしい足首が、揃って下駄を脱ぎ、転がるように座敷の上に、倒れこむ。

 

 「もっと、座敷の、奥のほうに、人に見つかってしまう」と、息も荒い京極堂が、自分の言ったことも忘れ、その場で美枝子の着物をたくしあげて、白い太股にはっとしながら、自らの着物の裾から、少し隠すように男根を取り出すと、犯し始める────

 

はぁ、はぁ、はぁ、と、口息も荒い京極堂が、震えるように劣情で、美枝子を突き上げる。はぁ、はぁ、はぁ、美枝子さん、と、甘い声の京極堂に、美枝子は汗だくで満足げだ。そこには、恥も外聞もない。そもそも背徳だ。だからこそ、盛り上るんだ。彼女は、畳でこすれて、少し背中を痛めたかも知れない。

「大丈夫ですか?」と、声をかける。

「‥‥‥え、ええ何のこと、ああ!」

美枝子の声は京極堂の突き上げで、遮られる。

「ふふふ、貴女は、いけない。美枝子さん」 

「え、ああ、ああ、ああ、」涙目が、よく潤んで凌辱決定────

「もう、そっぽ向いていた方がいい、僕も、いけないんだ」

彼女が、あああ、やあ───と悲鳴を上げて、眉根を苦しそうに歪めながらからだは京極堂のピストン運動で、はねあげている。さっと京極堂の目の前が、赤くなった。充血した目の毛細血管が、少しやられたか。彼女の頭上、座布団の枕を睨み付けながら、深くなかを、太い陰茎でかき回しズンズン攻める。止められない。

 

しばらく、没頭していると、

京極堂は、挿入れながら、険しい表情を緩める。

 

中禅寺は、不意に、顔を困ったように歪め笑いながら、

 

────笑ってしまう。

 

灼熱の真夏のなかで、悲しい愛が育まれていく。

こんなにも切ない苦しい感情のなかで、

馬鹿だ、

馬鹿だ、

僕は、この女(ひと)は、

こんな、悲しい、おかしなこと────

このひとの悲しい想いを思いだし、このひとの苦しみ、苦しみを、この人も悲しいように僕も悲しい、悲しい。

 

おかしいんだ────

僕も、少し狂っている。

うすべ笑い。

ふ、ふふふ、と今度は、愉悦と余裕を持って、彼女に挿入する。陰茎をぬらぬらとした体液が、包み込み、粘液が、酷い具合にいい。離せなくなっている。美枝子のあえぎ声が、ハレンチなものにかわった。ああ、やはり、好きだ。

京極堂は、彼女の放り出された左手をつかんで、自らの頬に寄せると、甘く囁いた。

「貴女のこと、好きなんです」

泣きながら、美枝子が、答える。

「私も、貴方のことを愛しています」

「両想いだなんて、嬉しいですよ」

美枝子が、両方の腕を伸ばす。はっしと受け止める中禅寺。

 

「好きだ、好きだ‥」

うわごとのように甘く言いながら、突き上げる。

「嫌、あ、あんっ、中禅寺さん」

はぁ、はぁ、はぁ、と喘ぐ彼女に、いっぱい押し込んで、このひとに知らぬ間に恥辱と危ないもので満たして、僕を一生忘れられない身体に。

 

 最後、険しい顔をしながら、壁際に追い詰めて、「美枝子さん、美枝子さん」と、激しいく名を呼ぶ。彼女は頭の上に両腕をなげだして、僕は腰は動かしっぱなしだ。もっと挿入ていたい、僕の絶倫を知ったら離れられなくなる、本当に。

彼女の、はだけたあわせから白い椀のような乳があらわで、片手でたっぷりなぶる。

 

扇情的すぎる光景に、京極堂の雄は、腰が、ぶるりと震えて、何度めかの達し。びくびく震えて、またゆるゆると、まだ、慣れない。

はぁ、と終わって、動かなくなった彼女に身体をよせて、今日も激しかった────

 

なんて欲望深いんだろう、

 

座敷から空を見上げると、太陽が差し込んで、じりじりとこの身を焦がすようだった。